イケメンで甘えん坊なあむ🐈チーズの香りに飛びついてきた幸せな日々、そして虹の橋へ!
※本記事にはペットとの別れに関する記述が含まれます。
以前、我が家にお迎えしたノルウェイジャンフォレストキャットの男の子、「あむ」。
このブログでは、彼との出会いや楽しい思い出を綴ってきました。
今日は、そんなあむとのかけがえのない日々を振り返るとともに、突然の別れについても書こうと思います。
「この子にしよう!」
ペットショップで娘が言ったその一言が、すべての始まりでした。
あむは、当時6ヶ月のノルウェイジャンフォレストキャットの男の子。
もともと他の飼い主さんに迎えられる予定だったものの、何らかの事情でキャンセルになり、ショップに残っていたそうです。
スタッフの方が「この子、人に懐きにくいんです。抱っこされるのも苦手みたいで…」と少し申し訳なさそうに話していました。
実際、腕に抱こうとしても、するりと身をひるがえしてすり抜けてしまう。
「もしかしたら、それで敬遠されたのかもしれませんね」とスタッフさん。
でも、そんな自由奔放なところこそが、彼の魅力だったのです。
あむは、まさに“イケメンで甘えん坊”な子でした。
最初にこのブログで紹介したときは、あむを迎えた日や、一緒に過ごした日常について書きました。
でも今日は、あむとの楽しい思い出だけでなく、突然の別れについても書こうと思います。
いつも自由奔放で、でも甘えたいときはそっと寄り添ってくる──
そんなあむと過ごした日々は、私たち家族にとって忘れることのない、かけがえのない時間でした。
わずか2年余りの時間。それでも、振り返ると胸がいっぱいになり、今でも涙がこぼれそうになります。
いつまでも続くと思っていた幸せな日々は、ある日突然終わりを迎えました……。
暑い夏を乗り切り、9月に入った頃のこと──。
いつものように、いや、それ以上に甘えてくるあむ。
「甘え上手になってきたな」と嬉しく思いながら、一緒に過ごす時間がますます愛おしくなっていました。
9月になっても暑さは厳しく、あむはクーラーの効いた寝室で昼間たっぷり遊んでいました。
ゴロンと転がって甘えたり、じゃれついたり…まさに可愛さ満点の幸せタイム。
元気そうに見えたあむと過ごすその時間が、私たち家族にとってどれほど幸せなものだったか、今でも鮮明に思い出せます。
しかし、その数日後──。
あむが少し嘔吐し、おしっこをするのに苦労しているようでした。
トイレの中でじっと動かず、何度も力んでは少し座り直す様子が気になりました。
「もしかして、体調が悪いのかな?」と不安になり、水を飲ませようとしましたが、なかなか口をつけようとしません。
おしっこをするのに苦労している様子に加え、便もスッキリ出ないようでした。
「クリニックへ連れて行くべきだろうか…?」
そう思いながらも、「今年の夏は本当に暑かったし、きっと体が少しバテているだけ」と、根拠のない安心感、人間よりも繊細な猫の身体に配慮する意識が希薄。
少し時間が経てば、いつもの元気なあむに戻るはず。
そう信じたくて、様子を見守ることを選んでしまいました。
その結果、クリニックへ連れて行くまでに、2日が過ぎてしまったのです。
この判断の遅れが致命的でした、後になって思うこと!
娘が病院へ連れて行き、診断を受けた結果──。
「尿路結石がある可能性が高いですね。お尻からチューブを挿入して、薬液を流しながら治療を進めます。1週間ほど通院が必要になりますが、入院でお預かりすることも可能です。」
そう、ドクターから説明を受けたと娘から連絡が入りました。
「尿路結石…?」
思いもよらない病名に、愕然としました。
さらに、尿路結石が引き金となり 腎臓にも負担がかかっていること、若い猫は急性腎不全を起こしやすいこと、慎重な治療が必要なこと も告げられました。
あむは普段から水をあまり飲まない子だった。
なぜ、もっと気をつけてあげなかったのか──。
水分摂取の大切さに、もっと早く気づいていれば…。
強い後悔の念に襲われました。
家族で話し合い、夜間は病院で過ごすのが不安ではないかという思いから、入院ではなく 毎日通院しながら治療を受けさせる ことを決めました。
通院2日目の朝。
娘が仕事へ行く前にあむをクリニックへ連れて行きました。
治療が終わるのは午後3時ごろの予定。奥さんは用事があり不在だったため、午後3時になったら私が迎えに行く ことになっていました。
しかし── 午後3時を待たずして、クリニックから電話が鳴った。
受話器を取ると、切羽詰まった声で言われました。
「至急来てください。あむちゃんの容態が急変しました!」
瞬間、頭の中が真っ白になりました。
着替えもままならず、手が震えながらも車のキーを掴み、運転席に飛び乗る。
エンジンをかけ、ハンドルを握ったまま、震える声で叫んだ。
「あむ、大丈夫だ!絶対に死んじゃダメだ!あむ、必ず治るからな……今すぐ迎えに行くからな……!」
心臓が不規則に波打ち、息が苦しくなるほどの動悸がする。
赤信号がもどかしく、イライラとハンドルを握りしめる。
「早く……早く……!!」
気が動転しそうになりながらも、何とか事故を起こさず、クリニックへと向かった──
看護師の後を追うようにして、あむのいる個室へ入った。
モニターが低く、不気味な電子音を鳴らしていた。
そこには、口とお尻からチューブを挿入されたまま、うつ伏せで横たわるあむの姿──。
「あむ……あむちゃん、あむ!」
足が震え、崩れそうになる。
「パパだよ!しっかりして……大丈夫だよ、目を覚まして、あむ!」
震える声で呼びかけながら、頬を撫でる。
だが、あむは応えない。
涙が溢れ、視界がにじむ。
「先生、あむは……どうしたんですか?何があったんですか……?」
嗚咽混じりの声で問いかけると、ドクターは少し言葉を選ぶようにして答えた。
「チューブからの薬剤挿入は上手くいきました。なので、一度この場を離れ、ほかの子たちの治療をしていたんです……。
ですが、看護師が様子を見に来た際、急変していることに気づきました。すぐに応急処置を施しましたが……」
「……が?」
思わず詰め寄る。
「どうしたんですか先生、あむは……生きてますよね?」
「モニターの反応は? これは何を示してるんですか?」
胸の奥が張り裂けそうになる。
何もかもが信じられなかった。
「十分な蘇生措置は施しました。しかし……今回の処置がストレスとなり、心臓に負担がかかったようです」
ドクターのその言葉が、まるで刃のように突き刺さる。
「……いや先生、モニターは……まだ動いてますよね?」
揺れるグラフ、時折鳴る電子音──まだ、微かに生きている証がある。
「まだ生還の可能性、ありますよね……? 先生、あむは、まだ……!」
必死に、絞り出すように言葉をぶつけた。
やがて奥さんが駆けつけ、あむの顔のそばに回り込むと、必死に呼びかけた。
「あむ、あむちゃん、目を覚まして!」
治療室は、まるで時が止まったように静まり返っていた。
こうして、あむはわずか2年半の生涯を終えました。
その後、別室でドクターから治療の経過と死因について説明がなされた。
「急性腎不全からの回復は非常に難しいのですが、あむちゃんの場合はカテーテル治療による恐怖感から急性心不全を引き起こした可能性が高いです。ガイドラインに沿った適切な治療でしたが、結果としてあむちゃんに負担をかけてしまいました……申し訳ありませんでした。」
ドクターは、深く頭を下げた。
この先生は、いつも熱心にペット医療に取り組まれている方だった。
私たちは、涙を拭いながら、「こちらこそお世話になりました」と夫婦で感謝を伝え、あむを乗せて家路へと向かった。
職場から帰宅した長女は、震える声で言った。
「あむがいたから、頑張ってこれたのに……」
涙をこぼしながら、そっとあむの体を撫でる。
他県にいる次女も、すぐに駆けつけてくれた。
ドクターから紹介された葬儀場は混み合っており、当日を含めて2日間ほど、あむは我が家で過ごすことになった。
私たちは、あむの身体にアイスパックを当て、そばには大好きだったおもちゃやヨーグルト、チーズを並べた。
「ありがとうね、あむ」
「ずっと一緒だよ」
あむに呼びかけながら、家族みな嗚咽が止まらなかった。
特に私は大粒の涙をこぼし、長女がそっとハンカチを差し出してくれた。
静かに横たわるあむに、花束を手向けながら、何度も何度も感謝の言葉をかけた。
そして、葬儀の日──。
火葬されるあむに最後の挨拶をし、控室へと向かう。
9月の空は、澄み渡るように青く広がっていた。
あむは今、天空のかなた、虹の橋へと向かっているのだろう。
秋の空を見上げながら、あむと過ごした日々が次々と脳裏をよぎる。
「ありがとう、あむ。」
「ありがとう、私たちの家族でいてくれて。」
「短かったけど、たくさんの喜びをくれたね。」
「本当にありがとう、いつまでもいつまでも忘れないよ。」
「大好きなあむ、永遠なれ──。」
遺骨は、私たちの家へと持ち帰った。